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戦争真っ只中、 白無垢も袴も、祝いの膳も何も用意できず、 花嫁と花婿の前には、 一組の盃のみ… ここで私達は初めてお互いの顔を見たのです。 二人共恥ずかしそうに、お互いの顔を覗き込んでいました。 私の幸三郎の印象は 厳つい顔のわりに、優しい笑顔。 優しい人だと安心しました。 私はこの人と一緒に生きていく、 そう心に誓いました。 親族の声に合わせ、 盃をかわし… 私達は夫婦となりました。 幸せでした。 でもこの人は明日には行ってしまう… 帰って来てくれるかも…解らない……
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