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その曲の楽譜をもらって、一回通してみた。
みんなまだ中一。
初見なのでもちろんバラバラのずたずただった。
先生は文句は言わず、曲にこめられた想いをはなしてくれた。
『実はこれ、先生が作った曲なんです。私が…中二の時…みんなと同じくらいの時ね、そのとき作った曲なんです。小学生の時は本当の友達って呼べる人がいなかった。でも中一になって本当の、本当の友達って呼べる人ができた…』
先生はその時を思い出したのか、泣いてしまった。
『ごめんなさいね、毎年こうなの。で、その子、いじめられてたの。今の言葉で言うと…ハブられてたってとこかな。私、なかなか助けられなかった。自分がハブられるのがこわかったから。みんなはない?』
みんな頷いていた。
優嘉は下を向いて震えていた。清香もタオルで目をおさえていた。この間のこと、思い出したのだろう。
やめてよ。
二人とも泣き虫なんだから。
泣くの早すぎ!
私も泣いちゃうじゃん…
気付けばみんなもらい泣き。
経験があるんだろう。
もう…みんな…泣き虫なんだから!
奈美もサックスを抱き締めて泣いていた…
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