隅っこ

11/25
前へ
/32ページ
次へ
結局、私の勘違いだったという事で話は終わってしまった。 「ねーちゃんはソソッカシイからなぁ」 ノブヒロが、やれやれといった顔でそう言うと、母が「あんたも人の事言えないでしょ」と、朝持って行くのを忘れていった体操着を指差した。 「遺伝だよ、遺伝」 「チョット、それどういう意味!」 二人の関心はもうソッチに移っていて、壁紙の事などキレイさっぱり忘れ去っているみたいだった。 私は確かにそそっかしい面もある。 だけれど。 アレは見間違いなんかじゃない。 確かに、確かに隅っこがめくれていた。 そうかといって、じゃあナゼ貼り直されているのかと聞かれても答えられないし、これ以上話をしてもその答えは見つからないだろう。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加