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私はそれからしばらく、事ある毎に部屋の左隅を確認するようになったが、壁紙はそんな私を知らんぷりするように平然としていた。
「やっぱり私の勘違いだったのかな…」
唯一、誰にも干渉されずにリラックスできる場所であるべき自分の部屋で、いつまでも緊張を強いられるのは、かなりストレスがたまった。
自分の気のせいだったと思う事が、一番てっとり早い。
もうこんな事忘れよう。
大した問題じゃないものね。
私はウーンと背伸びをし、ベッドへ仰向けに身を投げた。
天井の照明が眩しくて、目を閉じる。
だが、すぐに目を閉じた事を後悔した。
もし今目を開けて、また壁紙がめくれていたらどうしよう…と考えてしまったからだ。
目を開けるのが怖い。
でも、目を開けないままの方がもっと怖い。
私は自分の心臓がドキンドキンと大きく脈打ち、呼吸が荒くなっているのを感じた。
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