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激しい呼吸に併せて、肩と胸が大きく上下する。
イヤな想像はどんどんと膨れあがり、壁紙がペリ…ペリペリペリ…と不気味な音を立ててめくれていく映像が浮かんだ。
頭の中で唸りをあげる恐怖に耐えられなくなった私は、遂に目を開けてしまった。
反射的に、天井の左隅に目を向ける。
何もない。
わずかなめくれさえ無く、いつも通りの天井と壁が、そこにはあった。
私は大きな安堵の溜め息をつくと、部屋中を見回した。
何の変哲もない、普段通りの私の部屋。
バカバカしい。
私は一体何を怖がっているんだろう。
もう忘れよう。
テレビをつけ、適当にチャンネルを回す。
子供みたいに怯える自分が情けなくなり、私は無理矢理忘れ去ろうとした。
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