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私は授業が終わると、めくれの下に立って確認した。
5cmはあるだろうか。
こんなに大きくめくれているのに、誰も気がつかないのだろうか?
「アキ、何してんの?」
クラスメイトのカヨとアイが、声を掛けてきた。
この二人は気付いていただろうか。
私は尋ねてみた。
「ね、これヤバくない?」
「え?」
「この校舎って、そんなにボロかったっけ?」
「いや…てか、何言ってんの?」
私はカヨ達を振り返り、アレと指差す。
カヨ達は右隅をチラリと見た後、顔を見合わせ、気まずそうに私を見る。
「……」
「アキ、何の話?」
私はこめかみの辺りが冷たく痺れるのを感じた。
「見えないの?」
「だから、何が?」
カヨは少し怒ったような顔で私に聞き返す。
そのカヨの腕を掴み一歩下がった怖がり屋のアイの目には、涙が滲みかけていた。
見えていない。
いや…
もしかすると…
私にしか見えてない…?
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