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咄嗟に右隅を見上げる。
そういえば教室の壁はコンクリートでできていて、その上にペンキでカラーリングされているだけなのに。
一体、何がめくれているというのか?
私はガンと頭を殴られたようなショックを受けたが、カヨ達の、何か恐ろしいモノを見るような目付きを何とかしなくては、と思った。
「なんちゃって、冗談でした」
舌を出して、なるべくアホっぽい顔を作りおどけてみせる。
カヨ達は眉間にシワを寄せて、私を推し量るように見つめている。
「ちょっとしたドッキリよ、ドッキリ!」
「ちょっとー!マジでビビったんだけど!!」
アイはオオゲサに驚いて、きゃあきゃあ言いながら私の腕を叩いた。
「もー、アキの頭オカシクなったのかと思った!」
カヨもハァと大きく溜め息をつきながら、それでも笑って私に文句を言う。
「ゴメンゴメン。ビビった?」
「いやー、マジヤバかったよ、さっきのアキ!」
「女優目指せ、女優」
二人と騒いでいるうちに、始業のベルが鳴る。
席に着いた私は、授業中ずっと右隅を見つめていた。
さっきから、ずっと変わらずめくれている右隅を。
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