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学校が終わり、バイト先へ向かわなくてはならない。
だが、正直バイトをする気分にはなれなかった。
私はケータイを取り出すと、電話をするべきかどうか少し悩んだ。
「ばいばいアキ」
「また明日!」
何人かの生徒が私に声を掛け、学校を後にする。
私は適当に相槌を打つと、決心して電話を掛けた。
プルルルル…
どうか店長が出ますように…。
電話が繋がる間そう祈っていたのだが、一番出て欲しくないタイムリーダーのおばちゃんが出てしまった。
タイムリーダーとは要するにバイト頭で、パートのおばちゃんがその役を担っているのだが、若い女の子に異様なまでの敵意をムキ出しにしていて、誰からも嫌われていた。
「あら、アキちゃん。どうしたの」
「あ…その…店長今いますか?」
「いるけど、なぁに?」
「いえ、その…」
「まさか休みたいなんて言うんじゃないでしょうね?あーあー、いいわね若い子は。ズル休みしたきゃ店長に色目使ってハイOKなんだもんね。どうせバイト代だって、男との夜遊びにつぎ込んでんでしょ」
もしかして男と遊ぶためにバイト休むつもりなんじゃないでしょうね?
その一言にカチンときた私は「いえ、休んだりしません。学校で用事があるので、20分程遅れてしまいそうなので連絡したのですが」と、つい言ってしまった。
「学校の用事ねぇ、フーン。じゃあ伝えておくから、さっさと来てね」
それだけ言われて、電話を切られてしまった。
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