隅っこ

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プチリ 私の頭の中で、何かが切れる音がした。 血管とかそんなんじゃなく、何か、もっと大切なモノが。 切れたハシから砂城のように崩れ去った。 全身を鳥肌が覆う。 皮膚だけじゃなく、その皮膚の裏側にも。 胃や肝臓や心臓にも。 痛いほどの鳥肌が、ビッシリとたっていた。 それと同時に、恐怖で細胞の一個一個まで固く凍りついていた体が、グニャリと緩む。 ぬァい 私の唇から音が洩れた。 ヒぐゥ…ゥゥ…あはァ… 緩んだ細胞達が、振動し始める。 最初は小さく、泡立つように。 ちょうど鍋の中の水が火に掛けられて、どんどん熱せられてゆくように。 小さな泡は次第にボコボコと大きくなり、沸き上がっては破裂し、破裂しては沸き上がり沸騰した。 そうやって、私は狂った。
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