隅っこ

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ハハハハハ ァハハノヽノヽノヽ 細胞の沸騰に併せて、私はけたたましく笑う。 私の笑い声が合図であるかのように、無数の眼球が上下左右、目茶苦茶に蠢いていた。 喜んでる。 こいつらは歓喜にうち震えている。 イケないよイケないよ こんなモノがみえちゃイケないんだよ せーんせいにいってやろ ァハノヽノヽ ヤダようせんせいにおこられたくないよう ァハノヽノヽノヽ みえなきゃおこられないよ みえなきゃいいんだよう だってしょうこがなければだれもおこれないもん そうだよみえなくしちゃえばいいんだよ ァハノヽノヽノヽノヽノヽノヽ 私は一人でブツブツと呟きながら、両手を天高く突き上げた。 力いっぱい広げた指の筋が、ビキビキビキッときしむ。 ブジュゥウッッ 指先を両目の中へ突きいれる。 眼球をえぐり出すために。 視界いっぱいに、赤い闇が広がってゆく。 瞼に生暖かいモノが溢れた。 恐らく眼球の中身が洩れ出したのだろう。 指先の眼球は、梅干しのようにシワシワになっていた。 グゥと引っ張ってもなかなか取れない。 未練たらしく繋がっている神経が邪魔をしている。 イラなィこンなもノ ィらナィイラナいィンだョウ 私は鼻歌まじりに神経をひき千切る。 ブチブチブチブチッ 大分長く引き出されてしまった神経が、頬にペトリと貼りついた。 両手には、しぼみきってもう眼球だとは思えないモノが握られている。 私はそれを無造作に放り投げた。 ペチャリ 眼球がどこかに貼りつくような小さな音が聞こえたが、どこへ飛んだかは分からない。 だってもう私には見えないんだから。 見えないんだからァハハヽノヽノヽノヽ ギャーッッッッッ 誰かの悲鳴が聞こえる。 ギャーッッッ頬がッ頬にッめっめっ目がッギャーッッッッッ ウルサイなぁ ちょっとだまっててよ いまサイコーにいいきぶんなんだから ねぇきいて もうこれであんなめくれもみえないよ もうだれにもあたまオカシイんじゃない?なんていわれるしんぱいもしなくていいんだよ わたしはオカシクなんかない おかしくなんかない アハハノヽノヽノヽ END
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