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表情一つ変えずに言う怜に、少女はますますおびえていった。
「怜ったら…気にしないでね?怒ってるように見えるけど、内心は笑ってるんだから」
「へ?そ、そーなの?」
「さぁな。これが原因で、後ろからの接近にこの上なく過敏になったらどうするんだ?」
「…それって、ある意味いいことなんじゃないの?」
「えっと…本当にゴメンなさい。」
少女が何度目かの謝罪をした時点で、怜は我慢が出来ずに笑い出してしまった。
「…っ、あははははは!」
「もう…ホントに性格悪いんだから…。」
美雪が呆れて言うと、少女はキョトンとしていた。
「えっと…え?もしかして、怒ってないの?」
「いや、最初はムっとしていたんだが、お前のリアクションがすごくよかったんでな。」
「ところで…。」
怜と少女が話しているところに、美雪が切り出した。
「あなた、急いでたみたいだけど…ゆっくり話してていいの?」
「…あ!」
相当ビックリしたように美雪を振り返り、オロオロしだした。
「ど、どうしよ…お使いの途中だったんだ…。」
「商店街に?」
「うん…。」
「あたし達もこれから商店街に行くんだけど、よかったら一緒に行かない?」
「俺達って商店街に向かってたのか?」
「ゲーセンやCD屋さんの場所を知りたいって言ってたでしょ?だから商店街。」
「一緒に行ってもいいの?デートじゃないの?」
少女に問われ、怜と美雪は顔を見合わせた。
「美雪…これってデートだったのか?」
「多分…違うんじゃないのかな?」
「違うらしいぞ?」
怜が視線を少女に戻すと、少女の顔にはおびえの色はなかった。
「じゃ、行こうか。」
美雪が促すと怜と少女が進み始めた。
少女の名前は「日高 茜(ひだか あかね)」というらしい。
怜と美雪が驚いたのが、実は、茜は自分達と同い年だということだった。
「中学生くらいかと思ってたぞ…。」
「ゴメン。あたしも…。」
「二人ともひどいよ。」
すねたようだったが、すぐに笑顔に戻った。
「茜ちゃんは何を買いに来たの?」
商店街に着くと、美雪が話題を切り替えた。
「今夜はカレーだから、その材料を買いに来たんだよ。」
「八百屋さんはあっちだね…あたし達はこっちだよ。」
美雪は逆を指さして言った。
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