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「それじゃあ、また逢えたらいいね!」
打ち解けたらしく、茜は笑顔で怜達に言った。
「いいのか?」
「え?ダメなの!?」
「茜ちゃん…怜の言うことを鵜呑みにしちゃダメだよ?」
「失礼なやつだな…。」
「私は逢えたら嬉しいよ?」
「あたしも嬉しいよ~。」
「怜君は?」
「…分かった分かった。嬉しいから早くお使いに行け。」
「うんっ。またね~!」
茜が去ると、美雪が笑い出した。
「茜ちゃんってかわいくて面白い子だったね~。」
「かわいいかどうかはともかく、美雪並みに楽しいやつだな。」
「怜…それ多分誉めてないよね?」
話してるうちにCD屋に着き、怜は好きなアーティストのブースに向かった。
「へぇ…怜はこーゆーのを聞くんだ?」
「ん、あぁ。ここのベースの音がかっこよくてな。」
「ふぅん…。」
美雪が興味津々に覗いてくる。
「美雪はどんなの聞くんだ?」
「あたし?眠ってて気持ちいい曲~。」
「…クラシックとか?」
「あ、うん。クラシックもたまに聞くよ~。」
すると、怜は黙って歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ~!」
怜は、試聴器の前で足を止めた。
「せっかくだ。たまにはこーゆーのも聞いてみろよ。」
「うん…。」
怜がヘッドホンを手渡すと、美雪は素直に付けた。
「わぁ。すごい音…。」
そのスキに、怜は別のところでCDを見ていた。
『デートじゃないの?』
先程の茜の言葉が頭の中で繰り返されていた。
(デート…考えようによってはそうなんだろうけど…。)
『多分…違うんじゃないのかな?』
(でも、美雪はあっさり違うと言った…。)
「ふぅ…困ったな…意識しちまった。」
「何を意識したの?」
「うわぁ!!」
突然耳元で声をかけられ、怜は思わず声を上げてしまった。
「大きな声出しちゃダメだよ?」
声をかけてきたのは思いにふけっていた相手、美雪だった。
「怜、ひどいよ…聞いてる最中にいなくなるんだもん。」
「美雪がヘッドホンして聞いてるのに、俺が横についててどうするんだよ。」
「あ、それもそうだね。」
美雪が笑顔になり、怜の心拍数も戻ったようだ。
「ところで…何を意識しちゃったの?」
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