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「意識?そんなこと言ってたか?」
「うん。ため息つきながら…もしかして…。」
美雪が意味あり気に笑った。
(気付かれた!?)
心臓が一つ、大きく鼓動を打った。
「も、もしかして、なんだよ…?」
「もしかして…茜ちゃんに惚れたでしょ~?」
怜は全身の力を抜きながらため息をついた。
「でも、分かるなぁ~。茜ちゃんかわいかったもん…小動物みたいだよね。」
「なんでそこで、さっき初めて話したばっかりの茜の話になるんだよ?」
「あれ?違った?だって、かわいいよ?」
「どーゆー基準でかわいいのかは知らんが、俺が思うかわいいもそうとは限らんだろ。」
「へぇ…どんな基準なの?」
凄く興味津々に怜を見ている。
「ん…それは…。」
「それは?」
怜の目を覗き込んでいる。
「秘密。内緒に決まってるじゃないか。なんでこんなCD屋の一角でこんな話をせにゃならんのだ?」
「あ、それもそうだよね~。」
美雪は笑顔に戻った。
「そー言えば…美雪に渡したCDはどーしたんだ?」
「あっ…あそこに置いてきちゃった…。」
しまったという顔をして、試聴コーナーの方を振り返った。
「待ってて?ちょっと持ってくるね。」
美雪は小走りに試聴コーナーに向かった。
(ふぅ…なんとかはぐらかせたか…。)
怜は居候2日目にして、恋と呼ぶには未完成過ぎるかもしれないが、幼なじみをはっきりと意識してしまった。
「お待たせ~。怜、これ買うの?」
「ん?あぁ。あ、どーだった?聞いてみて。」
「あんまり聞いたことない種類の音楽だけど、いい曲だと思ったよ~。」
「家に戻ったら他にもあるけど、聞いてみるか?」
「うん。聞きながら寝ちゃったらゴメンね?」
そう言いながら美雪はいたずらっぽく笑った。
「こっちがゲーセンだよ~。入ってみる?」
「いや、今日はいいよ。美雪もいるし、一人で暇な時にでも来るよ。」
「ふぅん…あ、そうだ。怜、こっちがケーキがおいしいお店だよ~。」
「ほぉ。それはそれは。」
「おいしいんだよ~。」
「へぇ~。」
「おいしいんだよ~。」
「……………。」
「おいし」
「分かった!分かったから…入るか?」
「うん!」
美雪は、この上なく嬉しそうにうなずいた。
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