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「でも…ホントに久しぶりだね~。」
顔を上げた怜に少女は微笑んだ。
「もしかして、7年ぶりとかじゃない?」
「そんなに経つか?」
「そんなに経つよ~。」
怜も時間の流れは感じていた。
「目の前にいる少女=7年前の幼なじみ」がなかなか繋がらなかったのだ。
昔はポニーテールだったはずなのだが、現在の彼女は髪を背中近くまで伸ばしていた。
記憶の中にかすかに残っているポニーテール姿ではない。
外見から子供っぽさが抜けたようだった。
(外見上は違和感バリバリだな。)
しかし、少し話してるうちにそれも解決した。
話し方や話のペース、目つきなど…確かに、記憶の中の子供と合致した。
「ねぇ、7年ぶりだけど…あたしの名前覚えてる?」
「もちろんだ。そっちこそどうなんだ?」
「覚えてるよ?怜だよ。」
「ふむ。どうやら正解だな。」
少女は満足そうにうなずき、次は怜に問い掛けた。
「じゃあ、あたしの名前は?」
「太郎。」
「あたし、女の子だよ?」
「ポチ。」
「人間だもん。」
「キャサリン。」
「日本人だし。」
「…さぁ、行こうか。」
「あ、ちょっと~!」
怜は視線の先にあったコンビニに向かった。
「怜~。あたしの名前は~?」
少女は怜の後を、不満をだらだら流しながらついてきた。
怜はそれがおかしくなり、コンビニの周りをグルグル歩いてみた。
「怜…あたしの名前忘れちゃったんだね…。」
少し泣きそうな気配を感じ、怜は立ち止まった。
「さすがにこのへんをグルグル回るのにも飽きたな…。寒いし。あったかい部屋でソファーに座ってコーヒー飲みたいよな。」
怜は少女に聞こえるように呟き、振り返って言った。
「おい、早く家に連れてってくれよ。美雪。」
すると、少女――いや、天村 美雪(あまむら みゆき)は一瞬キョトンとして、次の瞬間にパァっと嬉しそうに笑い、うなずいた。
「うん!覚えててくれて嬉しいよ!!」
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