雪が降る街。

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「…マジかよ…。」     美雪の部屋のドアを開けた怜は…開けた体勢のままで固まってしまった。 部屋の中は音がぎっしり詰まってるような…とにかく、多数の目覚まし時計が同時に鳴っているのだった。     「なんなんだよこれは…美雪は…?」     美雪はその爆音の真っ只中でスヤスヤと寝ていた。 ベッドに広がった長い髪。 閉じた目には女性らしく伸びたまつ毛。 女の子として順調に育っているようだ。 しかし…。     「俺!そんなこと思ってる場合じゃないだろ!美雪!起きろ!!頼むから起きてくれ!!」     すると、1階から志乃が上がってきた。     「怜君、どうしたんですか?」 「美雪がまったく起きないんです…。」     怜が1階にいた志乃にまで聞こえるような声で美雪を呼んだにもかかわらず、呼ばれた当人は眠っている。     「ここは私に任せて。怜君は下で待っていてください。」     志乃が怜を促した時、美雪がむくっと起きた。 怜達の方を見て、何かをつぶやいている。     「美雪!とりあえず目覚ましを切れ!!」     口で言っても伝わる自信がなかったので、身振りでなんとか伝えた。 なんとか伝わったらしく、目覚ましを切り出したので、怜は1階に降りた。     「おはよ~。」     美雪は目を7割方閉じたまま階段を降りてきた。     「おはようじゃねぇよ…まだ頭がくわんくわんする…。」 「大丈夫だよ。きっとそのうち慣れるから。」     確実に論点からはズレているのだが、怜にはそこにツッコミを入れる余裕がなかった。     「でも、美雪があんなにあっさり起きるとは思わなかったわ。明日からも朝起こすのは怜君にお願いしようかしら。」     志乃が本気か冗談か分からない笑顔で提案してきたのだが、怜はこれからの朝の平和のために固辞した。     「ところで美雪、学校は明日からなんだよな?」 「みゅ。」     ソファーに座った美雪は、まだ寝ているのか…奇妙な鳴き声をあげている。     「…美雪さ~ん。起きてくださ~い。」 「うにゃあぁぁぁ…。」     怜は美雪の頭を持ち、左右に振りながら話した。     「美雪さ~ん。学校は明日からなんですか~?」 「うにゃあぁぁぁ…あ、明日からだよ~。だからもうやめて~。」     怜が手を離してやると、美雪はくったり倒れた。
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