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――私ね、今付き合っている人がいるんだあ!
――え~、誰々~!?
誰でも一度は必ずやる恋の話。
校庭を囲むように植えられた桜の木に、小さな小さな桃色の蕾がつき始め、受験も終った生徒達が、残り限られた時間を精一杯楽しもうとする頃、私とその親友は、そろそろ中学も卒業だね、という何気ない会話から、その恋の話に発展した。
「誰にも言わないでよ~? う~んとねえ……」
親友の口から、自分の幼馴染、そして――自分の好きな人の名前が出てきた。
「先週ね、私から告白したらね、OKしてくれたんだよ~!? めっちゃ嬉しい!!」
私は唖然とした。そして……自分への後悔で一杯になった。
――なんでもっと早く告白出来なかったんだろう――
――なんで勇気を出して告白しなかったんだろう――
目の前でとても幸せそうな表情をしている親友を見ると、反対なんて出来るはずもなく……
「そ、そっかあ! アイツはすっごくいいやつだから、絶対手放したりしちゃダメだよお?」
私は今できる最高の笑顔で言った。
少しでも顔を緩めると、今すぐ泣き崩れてしまいそうだったから……。
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