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会社に戻ると事務員が慌てた様子で言った。
『社長…ビライザシリーズですが…入荷まで三ヶ月です…。』
志満子は叫んだ。
『何でそんな掛るのよー!!』
二人の事務員は驚いて志満子を見た…。
『物なんか直ぐに出荷させてよー!!』
『……』
『はぁ…はぁ…』
志満子は悔しくて涙が出た…。
『ごめんなさい…、あたし近代百貨店の件賭けてたから…じゃないと…あなた達にボーナスも払えないの…。』
二人は顔を見た!
『辞めさせて貰います!』
志満子は二人の顔を見た!
『今時…ボーナスもないなんて…失望しました!』
二人は出て言った…
暗い事務所で志満子はボーッとした。
『あたし…何やってんだ…。』
『がむしゃらに走って来て、些細な事一つあっただけで…崩れちゃう脆さ…』
『うっ…うぅ…。』
ガチャッ!
『社長!ビライザシリーズ、少ないけど集めて来ました!』
配送の沢村明正が帰ってきた!
『もう…いいの沢村君…それにそんな数じゃ…どうにもならない…。』
『社長らしくない!諦めないで下さい!』
志満子は何も答えられなかった…。
『俺は諦めない!今回の仕事も!社長…志満子さんの事も…。』
『えっ…!』
『あっ…もう一ヶ所集める処あって…い…行ってきます!』
沢村は赤い顔をしてドアを閉めた!
志満子は持ってきたお皿を抱きしめ また泣いた…
お皿の裏にメッセージが書いてあった。
メリー・クリスマス!
大好きな志満子さん、今年は散々だけど…来年は俺の家で祝いたいな…
窓の外は いつの間にか雪が降っていた…
END
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