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ポッと神様がAの前に現れた。
Aは驚いた。Aが座っていた椅子が回転する。背もたれ部分が、傍にあった机にぶつかる。机の上にあった本棚から本がAの頭の上に落ち、失神してしまった。
しばらくして、Aに誰かが話しかける。先ほどの神様だ。神様が言う。
「願い事を一つだけ叶えてあげよう」
Aは一瞬だけぽかんとした。しかし、神様の言ったことを理解するとすぐに口を開いた。
「一つだけ?どうして一つ?三つじゃないの、三つにしてよ」
「私はどこかの国の魔法使いじゃないんじゃよ、願い事を叶えられるのは一つだけ。一つだけじゃ」
「神様ってケチなんだな」
「文句を言うでない、ほら願い事を言ってみよ」
「身長が欲しい!背丈が低いから身長が欲しいんだ」
「どれくらい欲しいんじゃ?言ってみなされ」
「十五センチ」
さっきケチだと言ったわりには、欲の無い願い事だった。
「わかった、それでいいんじゃな?」
「あぁいいよ。身長を十五センチだけくれよ」
「本当の本当に願い事は身長を十五センチあげるでいいんじゃな?」
「そうだよ、だから早くくれ!それともできないのか?神様ってのは嘘か?」
なかなか願い事を叶えてくれない神様に対してAはだんだん神様という人物を疑い始めた。
「何を言う?見てみろ、この格好。ワシは正真正銘、神様じゃよ」
神様の姿は、神様と言ったら皆が想像するような姿だった。右手には魔法の杖だって持っている。
「なら、早く願い事を叶えてくれよ!」
「わかった、わかったそう慌てるでない。いいか、願い事は叶えてやるがその前にやることがある」
杖をAに向けて言った。
「Aよ、一週間、身長を伸ばす努力をしてみなされ」
「なんでだよ」
「ワシはタダでなんて言っていないからのぉ。努力する人間にしか願い事は叶えてやらんよ」
「っち、やっぱり神様はケチだ」
「じゃあやらんのかい?」
「やるよ、やるやる。やってお前が本当の神様なのかを確かめてやるよ」
Aは願い事よりも、この神様という人物が本当に神様なのかが気になっていた。
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