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バッ――!!
扉の方に気配を感じブラムは振り返る
ザラージュは扉に視線を向ける
「フン…そこに居るのは嬢ちゃんかい?牢の番人は何してんだ、しっかりと鍵の娘を見張っておけと言ったのに…あの馬鹿者めが。」
――鍵…鍵の娘は扉に背を向け走り出す。薄暗い廊下を走り長い螺旋階段を必死に駆け上がる。
「ブラム。」
ザラージュが静かに言う
「我は先に魔界の扉に向かい、同胞達と扉一帯を占領する。お前は鍵の娘を連れ此方に来い。良いなブラム。」
「フン。此からはワシらの時代だザラージュ…人の者への復讐、必ずや成し遂げようぞ。」
「クックッ
では待っているぞブラム…。」
―――――――――
「はあっ、はあ…」
―バンッ―
螺旋階段を登りきった場所に、少し埃りがかかった黒い扉がある。鍵の娘は両手で押し開け外に出た。
―ザザアアアアァァ…ーー
大粒の雨が身体に降り掛かる
景色を見れば目が眩むような高さ…前には、人が一人やっと通れるぐらいの細い塔の道。おそらく見張りの為の場所だろう
…一人の男が雨に打たれながら立っている。四本の角を生やし朱の髪は腰まで真っ直ぐ伸ばしてある。額には藍色で模様が描かれていた…よく知っている顔
「あレレ?セルフィナちャ~ン、なんでこんなとこに居るのかナァ?」
「…っ。」
一歩後ずさり引き返そうとするが、背後から迫る足音に動きを止める。
「…フン。やはり嬢ちゃんだったか、さあ此方にくるんだ。」
追ってきていたブラムが背後に立ち手を差し出した。
鍵の娘"セルフィナ"は身体を強張らせブラムから少し距離を置き首を振った
それを見てブラムはやれやれと息を吐きセルフィナの後ろに立つ男に視線を移す
「…ルギ!馬鹿者!お前は持ち場を離れて何をしている。」
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