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しかし秋吾は何でもとはいかない。
抹茶だけいただいたり、磯部焼きなどを食べたりすることが多かった。
しかしこのところの秋吾は少々疲れていた。
そんな秋吾を見ると夏樹は苦笑をし、秋吾は疲れた顔でメニューを見た。
「今日は葛切りにしようかな…」
「あら、珍しい」
桔梗がおどけて言うと、夏樹は軽く吹き出しながら
「最近特に女の子から告白されるは追いかけられて逃げるはで、今日なんか他校のファンとうちの学校のファンが小競り合い始めたもんで、二人で止めようとしてモミクチャ」
「はあ~他校のファン!?」
「秋吾が最近おかしいってんで人気が鰻登りになって」
桔梗は眉間にシワを寄せて首を傾げた。
「おかしくて鰻登り?」
「前は女に告白されると、自分に彼女がいようが相手に彼氏がいようが平気で付き合ってたのに、最近断るって」
「それっておかしくない?断ってるんでしょ?」
「はあ…まあ。それに一瞬物思いに耽る事があって、その横顔がたまらないとか」
その時木通が秋吾の黒蜜を添えた葛切りと、夏樹の頼んだ白玉の上に甘い黒ごまソースと生クリームを乗せたものをそれぞれの前に置くと、木通は二人に何気なく呟いた。
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