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「いや、そうじゃなくて…」
夏樹は水の入ったグラスを持ち、固唾を飲んで見守っている。
「結婚してるとか?」
「いや、そういうんでもないんだけど…」
秋吾はわからずに黙って見ていると、桔梗は木通と秋吾を落ち着きなく見交わすが、木通は素知らぬ顔。
そのうちに桔梗は意を決した。
「その…手術をしたの」
「・・・・・」
秋吾はわからずに黙っている。
「だからそのぅ…男の体から、手術して今の体になったの…」
『パリーン!!』
見ると夏樹が持ってたグラスが床に砕け、夏樹がワタワタしていた。
木通が冷静にホウキとチリトリとモップを持ってきて始末をする。
店には4人だけで、極力抑えたBGMが流れる中シーンとして、秋吾と夏樹はおとなしく出されたものを食べた。
秋吾は黙って葛切りを食べ終わるとおもむろに言った。
「で、彼女になってくれるのくれないの?」
「は?」
桔梗と夏樹、ずっと素知らぬ顔をしていた木通さえも秋吾の顔を見た。
「あたしの話聞いてた?」
「うん、聞いた。だから?」
「だからって…」
桔梗は戸惑ってしまい木通を見た。
予想もしてなかった反応が返ってきたために、為す術をなくして言葉が出てこない。
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