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秋吾の方では何が問題なのか、桔梗の戸惑っている姿にこちらも戸惑っているようで夏樹に囁いた。
「俺何かマズい事言った?」
「あ~~~…自分の考え言ってみたら?」
「考え?」
「だからさ、桔梗さんが告白したことについて」
桔梗や木通を見てから、秋吾は少し考えをまとめるように視線を落とし、水の入ったグラスを見ると顔を上げた。
「だって…。心が女で今は女の体なわけで…他に何の不都合があるんですか?」
あまりに堂々と秋吾が言ってのけたので、夏樹も木通も桔梗の動向に注目した。
「不都合と言うか…普通少しは引かない?」
「昔のエジプトじゃあ人間の体は蝋で出来ていて、魂を入れる器だと思われてたって」
「器?」
「今は切ったり埋め込んだり出来るんだから、余計に器って説が理解できるな。自分が生きていく上で生きやすい姿になっただけなのに、何で引かなきゃいけないの?」
「…ああ…そうなんだ…」
桔梗には他に言葉が出てこなかった。
「大体奇異な姿なわけでもなし、俺が引く理由なんてないですけど」
「・・・・・」
もう桔梗は言葉もなく秋吾を見るしかなかった。
夏樹は口元に笑みを作りながら木通を見ると、木通もニヤニヤとしていた。
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