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ほら。
猫も黒い獣から元の猫にもどり、来夢の腕の中でしゅんとしているし。
「‥なんて、冗談よ。ふふ、私を守るコトができるのは貴女しかいないわ」
ふふふ、と笑いながら来夢の頭を撫でてあげると
「はい!私、もっともーっと修業して強くなります!!この子も頑張ります!」
なんて、可愛い事をいうのかしら。
「じゃあ、期待しているわね。」
「さて、ここはどんなお店なのかしら‥」
新しい建物ではない。
どうやら元々あった古い倉庫を改装してお店にしたようだ。
「窓も曇りガラス。ちょっと大きめな入口が一つだけ。」
「この看板が無ければ、とてもお店だとは分からないわね。」
空からでも分かるほどの看板には、ミミズが這ったような字で
[た すけ て や]と書いてあった。
「なんで、たすけてやなの?普通は看板に助けてなんて書かないわ…」
「来夢はどう思う?やっぱり看板じゃなくて救助を求めてるのかしら?」
「違うと思います。だって下に営業時間夜までって書いてあるし。」
これまた汚い字で、営業時間と書いてあった。しかし、それ以外には何も書いてないようだ。
「ともかく中に入るわよ。」
「はい、そうですね、とにかく入ってみましょう。」
私と来夢は大きなドアを引いて薄暗い店内へと入ったその瞬間!
パンパン!パ~ン!パーン!
「パンパカパ~ン!」
「おめでとうございます。あなた様が当店最初のお客様です…」
そう言うとクラッカーを鳴らした男が顔を引きつりながら姿を表した。
「驚かせたのは、謝りますからどうかそれを仕舞って下さい…」
実はクラッカーが鳴る瞬間に男の首筋には刃渡り90センチの刀が来夢の手によってあてがわれていたのであった。
まさに、一瞬である。いったいいつ刀を抜いたのか!
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