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あんたは俺の事、餓鬼だと思ってたんだろう?
だから、いつも俺の事を見るその眼差しは、子供を見つめる親のそれで。
俺はそれが、心の底から悔しくて悔しくて。そして、苦しかった。
俺はあんたに追い付きたくて、必死になって勉強して、無理して背伸びをしてた。
だけど、結局あんたは、俺の事を大人と認める前に、突然逝ってしまった。
なんの前触れも無く。
本当に突然、簡単に、呆気なく。
白いベットに横たわるあんたは、いつもみたいな、優しい顔をしていた。
赤みが微かに残る、あんたの薄い唇に、俺は自分のそれを重ねた。冷たかったけど、死んでるとは思えないくらい、柔らかかった。
本当は、あんたが生きてる時にしたかった。
あんたが俺を対等だと認めた時、俺の気持ちを伝えようと決めてたのに。
あんたが死んじまったら、もともこも無いじゃねぇか。
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