29365人が本棚に入れています
本棚に追加
追っ手に見つかる前に、早々に立ち去りたい。
「い、いいから降ろして!!」
「あ、うん」
騒がしい子だ。
「あ、うん。じゃなくて降ろしてって!! わ、わ、私をた、食べるつもり!?」
私を食べる?
何言ってるんだこの子。
俺は取り敢えず女の子を降ろす。
「?」
何故そこで不思議そうな顔をするか分からない。
だがこれだけは言おう。
「興味無「いたぞおおお!!」」
俺が言葉を終える前に、何者かの大声がかぶさった。
しまった、追っ手か!?
我ながら油断し過ぎた。
叫び声が聞こえた方を見ると、尾行班Aがこちらに向かっていた。
逆を見ると、尾行班Bがいやらしい笑みを浮かべ、やはりこちらに向かい歩いている。
見事に挟まれたようです。
もはや尾行とか細かいこと気にせず殺りにきた顔だ、アレは。
不味い、一言で言えば『絶体絶命』
一文字で言えば、『泣』
しかし万策尽きたわけでは……無い!!
こちらには今し方手に入れた駒が有るのだよ。
「こっちに向かってくる男の足止めをしてくれると有り難い」
「え?」
「俺、逃げるから」
「…………」
そんな冷めた目で見ないでおくれ。
策なんて浮かばないし、強行突破しかないよ、もう。
でもさ、文中では語らなかったけど、二人共凄い筋肉質なんだよ。
正直、無理そう。
ヒーローまだー?
最初のコメントを投稿しよう!