02:桜なのか櫻なのか

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  なんやかんやで、櫻が我が家に進攻してから10分以上経過しようとしている。 「で、だ」   通算四度目になる咳を吐き、俺は再度櫻に視線を置く。   櫻は、子供が誕生日プレゼントをもらう瞬間のような顔で俺を見ている。   そんな目で見ないでほしい。 照れる。 じゃあなくて!!   「貴女の要求はなんですか?」   「要求? 人聞きが悪いなぁ?」 そこはかとなく悪い予感がする! 「ど、どうすれば帰ってもらえますのですますか?」 正直空腹も限界の上、疲れも溜まっている。   早めに帰って頂いて、身体の求める欲求を満たしてやりたい。   俺の言葉に待ってましたと言わんばかりに、櫻は口を開く。   「明日、一日だけ私の彼氏になってくれないかな?」   なんだ、そんなので良いのか……。             ん?                 「か……らし?」   「彼氏」 「かれ……し?」 「そう、彼氏!! 一日だけで良いの。 お願い!!」   俺がどこから突っ込むべきか悩んでいると、櫻は間髪入れずに補足する。   「いや、待て待て待て」   「駄目……なの?」         女の武器、『哀愁上目遣い』ですね、わかります。   だがそんなのきかんわ!! 俺は意外と硬派なんだぞ?   いや、そんなことはどうでもいい。   「無理だ!!」 言い切ってやった。 刹那、後悔することとなる。 「利用するだけ利用して……ひどいッ……!!」        なんぞこれ。  
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