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なんとかこの話を白紙に戻す為の決定打がほしい。
残念だが、先程の設問は決定打に成り得ない。
気を取り直して次だ次。
「なんで俺?」
「つ、鶴来君そこそこかっカッコいいし、それに……下心が無さそうだから!!」
言い終えると、櫻は恥ずかしそうに顔を紅潮させる。
か、可愛いじゃないか。
じゃあなくて!!
勢いで一日彼氏を引き受けてしまったら、俺は平穏とさよならしなくてはいけなくなる。
愛してるよ、平穏。
だから少しだけ力を貸しておくれ。
俺は次の質問を口にする。
「告白防止が理由みたいだけどさ、なぜ告白の全てを断っているのかを聞きたい」
今まで櫻に告白した男達の中にも、めぼしい人が何人かいた筈だろう。
そこが賦に落ちない。
だってそうだろう?
櫻に彼氏がいれば、俺はこんな申し出をされなかったのだから。
反面、踏み込み過ぎたかなと反省している自分が怖い。
紳士足るもの櫻にも櫻也の深い理由がある、そう考え配慮するのが例に習ってる在り方。
紳士じゃないんだけどさ。
踏み込まれたくない闇は誰にでもあるだろうし、嫌な質問をしたかも知れない。
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