02:桜なのか櫻なのか

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  「好きな人が……いるから」   伏し目がちに櫻が呟いた台詞を、俺は聞き逃さなかった。   好きな……人がいる?       告白すれば良いんじゃない?と思った俺は不粋なんだろうか。       ……俺には量ることの出来ない、理由があるのかもしれない。           今はそれで納得しよう。   しかし、これでは櫻の要求を受けざるを得なくなってしまう。 それは望めない展開であること間違いない。     「それで、受けてくれるのかな?」   悪魔の笑みが俺を射ぬく。   俺は……俺は……!! 「謹んでお断r「拒否権は無いよ?」」       あぁ、俗世はなんて無情なのだろうか。   抵抗は幾らでも出来たんだ。   ただ、それは俺の大切なものを捨てることに成りかねない。   大切なそれと一日彼氏を天秤に掛けた時、有ろう事か天秤はその陳腐なプライドを支持した。       さよなら、平穏。   元気でね?   俺の愛した平穏は、今この日を持って決別だ。   また会おう……!! なぜか、櫻は終始頬笑んでいた。
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