03:一日〇〇と秘密

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  「にゃむ……」       あぁ、憂鬱な朝がやってきた。           うん、こんなことに憂鬱だと思えるのは幸せな方だ。   現状で満足するのが大切だと、嫌な程学ばされてきた。 時間はかなりゆとりがある。 二度寝に持ち込むのも一つの道だが、愚かな俺は昨日を繰り返さない為にもここで起きねばならなかった。 「うー……」   俺は一度大きな欠伸をすると、気だるさを跳ね退け布団から体を起こす。   天候は、立地の悪いこの部屋のカーテン越しからでも晴天だと分かった。   しかも、これでもか!!って程に。 眠気眼のまま、おもむろに洗面所に向かう。   「眼鏡、眼鏡……」   標的付近で手を彷徨わせているのは視力が低いからだ。       俺は生れ付き、かなり目が悪い。   この白皮も関係してるんだけどさ。   でも挫けません、文明が味方してくれるもの。     ようやく眼鏡を確保し、洗面所へ辿り着くと、鏡に映る自分の姿を視野に収め、つい溜め息を吐いてしまう。   しかしそれはいつもの事。   朝目覚めれば全部夢でしたー!!なんて落ちは漫画やゲームでしか有り得ない。       うむ、顔を洗おう。   シリアスは柄に合わない。   俺は元気に生きていかねばならぬ!!              しかし憂鬱だ。
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