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00:ぷろろーぐ
桜舞う並木道に、やわらかな日差し。麗らかな春の景色というにぴったりの光景では無いだろうか?
俺こと鶴来 楓(ツルギ カエデ)が源王学園に入学して二年目の春がやってきた。
少し光景が変化しただけで、通い慣れたこの道も新鮮に思えてくるから不思議なものだ。
なんて、年寄りめいた事を思って和んでいた頃が今は懐かしい。
俺の世界は、この一年で劇的に変わっていく。
それは、「普通」の一言で表せる程に人から見れば簡単なものなのかも知れないけれど、俺にとっては掛け替えの無い一年となる。
─*
突然だが、俺には友達と呼べる人や、大切な人と呼べる人は一人を除いていない……たぶん。
『いない』、こんな表現よりも、作らない様にしてきたという表現の方が適切かも知れない。
故に、俺の高校生活は灰色と呼ぶのに相応しいだろう。
別に後悔もしていないし、変えようとも思わない。
これで良いんだ。
深く干渉しなければ、闇の先なんて見られることは無いのだから。
本心は、退屈だった。
自発的なこととは言えど、孤独を感じることに慣れなんてあるのだろうか?
重ね着た虚の鎧は、孤独の分だけまた増えて行く。
俺は無意識に探していたのかも知れない。
その虚な呪縛から解き放ってくれる人を。
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