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直貴はその足で行きつけのバー、「whiteball」へ向かった。
「whiteball」は20年前にブルドッグスのエースだった柏田正(51)が経営するバーで、ブルドッグス主催の試合が終わると、チーム関係なく酒を飲みに訪れる選手も少なくなかった。
柏田は直貴にとって「東京の父」だった。寮に入ってまもなく、③年先輩で現在のクローザーの中沢洋に連れられてからの付き合いで、柏田は直貴を可愛がっていた。直貴に自分の姿を重ね合わせたのだ。直貴も柏田の前では昔の姿に戻ってしまうほどだ。
その日社長の前ではデカかった直貴も、さすがに解雇処分のショックは大きく、店に入るなりカウンターに倒れ込んだ。
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