~泥酔~

3/3
前へ
/97ページ
次へ
「中沢から話は聞いた。あいつ心配しとったぞ。」  直貴が席に着くなり柏田は言った。 「なんで俺がクビに…。」 「それはお前がエースとしてやってはいけないことを繰り返したからだ。」 「やってはいけないこと…」  エースだった柏田の言葉には説得力があった。の直貴には、今までの自分の暴挙が思い出されて来た。今までそれを球団のせいにしていたが、それが間違いだったことにやっと気がついた。  そして、それはもう取り返しのつかないこと。もうブルドッグスには戻れない…  直貴の涙腺から熱いしずくが流れ落ちた。  しばらくして、直貴の前に中ジョッキが置かれた。 「今日は飲め。」  柏田が言うと直貴は無言でそれを一気に飲み干した。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加