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直貴は、秋田の県立みちのく高校からドラフト①位で指名された。直貴は一年夏から頭角を表し、③年夏で引退するまでチームを全ての甲子園大会に導いた。
プロ野球はもちろん、メジャーからも熱視線を浴びた。チームのためならなんでもやるという非の打ち所のない野球少年であった。
当然、一年目から東京のローテに入り、一年目は15勝3敗で新人王、二年目は開幕投手を務め20勝4敗の成績で最高の投手に与えられるゴールデン・ロージンバック賞を受賞。プロ入り二年で東京のエースとして君臨した。
ところが直貴の入った年から東京は先発陣の衰えが目立ち、直貴以外で勝ち星を稼げなくなった。二年連続で最下位。今年もベテランを押し退けるような若手は直貴以外に存在せず、直貴が18勝したにも関わらずぶっちぎりで最下位。直貴には三年分のストレスがたまっていった。
それと同時に三年で五十勝を達成した直貴には変な自信がついてしまっていた。自分に勝るものはない。そんな自負があった。
自分が投げた試合が終わるとすぐに夜遊びを始めた。今日勝ったんだぜとホステスに自慢していた。また、別の投手で試合に負けるとまわりに当たり散らし、シーズン終盤になると勝ち試合でも故意死球を与えたり暴力で退場になったりした。
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