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周りは敵だらけだった。いや、今思えば敵はほんの一部だったと思う。でもあたしはまわりに高い高いかべを自分で作り上げていて一人堅く閉ざしたブロックの中で息を潜めていた。誰の声も聞こえない。みえない。
暗い視界のなかであたしは確実に破滅の道へと狂い進んでいた。
そしてそんな状態のままあたしは3月中学の卒業式を迎えた。
…ようやく…
花落としたよ。
卒業式をやる体育館に行く途中あたしは胸に刺したカーネーションを落とした。気のいい男子がおしえてくれた
べつにいーよ…
よくないだろ
廊下が妙な空気だった。
それから終始卒業式では無感動のまま突っ立っていた。長い校長の話や祝辞もどうでもいい。
ラスト歌を歌うことになっていてあたしはやる気なさげに少し人と隙間を開けて隅っこの方で歌った。
それからお決まりのアルバムのメッセージを書く作業。適当に書いてあたしはさっさと帰った。アユリも
美輪ちゃん書いて~
と言ってきたので当たり障りのないメッセージをかいた。アユリのメッセージはというと
美輪ちゃん部活の写真大きくのれて良かったね。
アユリは小さくのっていた
はぁ
あたしは毎日学校を登下校した部活の仲間に
もうかえる。ねむい
といってげた箱に向かった。何人かの仲間に呼び止められてメッセージを書いたがあたしのには書いてもらわなかった。
ゆっこちゃん(仮名)が寂しそうな顔をしていた。あたしはいまでもあのときの顔を覚えている。
家に帰るやいなや、弟とお母さんが
何?あの卒業式でのやる気のなさ。恥ずかしかった!
……
それからあたしは卒業証書を机の上に置いてカバンを下ろした。すると卒業証書が机のしたに転がり落ちた。
カラン…
…………ま、いい
それから三年間卒業証書は拾われることも開けられることもなく足元にあった
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