その手に最後に残るモノは

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冥王「――オン。リオン。何故だ。何故使者となることを拒む。」      リオン「いや、ツレにな。神が大ッ嫌いなヤツがいてな。わりーけど。この願い、変えてもらっていいか?」      冥王「な、わからん。一体これ以上何を望むというのだ。」      リオン「ツレの所に。飛ばしてくれ。元の世界でいいんだ。簡単だろ?」      バリテック「しかし魔界はもう……」      リオン「魔界じゃねぇって。多分、神のトコじゃねぇかな。感じてるんだ。さっきから。落ち着かねぇ。」    冥王「確かに可能だが……すぐに神に消されるのがオチだ。新世界への使者にならないとわかればもはやオマエに用などないはずだ。」      バリテック「なぜだ。なぜそこまでヤツの……勇者の事を………!!」      リオン「オレの……せいなんだよ。オレのせいでヤツは神、なんてわけのわかんねぇモンに気付いちまった。更に言やぁオレがヤツのオヤジを殺したせいでヤツは勇者なんてもんになっちまった。」      イライザ「だからって……人間の為にアンタは二度も死ぬって言うの………!!?」      リオン「いいや。人間とかそんなんじゃない。アイツは……一番の友達だ。アイツが神を倒してこの世界を終わらせるってんなら―――オレだって行かないと。相棒のピンチみてぇなんだ。わかる。」      冥王「――知っていたのか。神が死ねば世界が終わると。ならば貴様の父親とそこの女も巻き込むと言うのだな?」      リオン「……それ、は。」    バリテック「ふっ、ふははは!見くびるな!!そもそも一度死んだこの身がこうして存在していることがおかしいのだ。未練などあるものか!」      イライザ「う~ん、ま、確かにせっかくのチャンスなのにっとのはあるけど。私も今までの人生に悔いなんてないわ。」        リオン「オヤジ、イライザ…。」      バリテック「行け。リオンよ。オマエが他人の事を心から思えるようになったことを。私は嬉しく思う。」    イライザ「そうね。レナ。アナタの母親も、きっと喜んでるわ。私は嫌いだったけど…今のアナタのように誰かを思える人だった。それが化け物だろうとね。」    アイツの口から母さんの名前が出るなんて―意外だな。      冥王「ふぅ……また選定のし直し…か。」
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