719人が本棚に入れています
本棚に追加
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
ああ、めんどくさいっ!
ミカエルの奪還したワールドプラネットは完全に元のまま、というワケではなかった。
当然と言えば当然なのか。あんなバカげた巨大な空間をまるまるゲームに作り替えた精神異常者のおかげで所々おかしなところがあってもあたりまえ。
それより私が苦心しているのは私の手に余る新しい仕事のせいなのだが……
ガチャッ
「ママ、どう?うまく吸い出せた?」
「もうっ!私に人工知能の仕組みなんてさっぱりだって何度言ったらわかるのよ!!」
ダンッとミカエルのほうを向いて机を叩いた。
あの後。ミカエルから来ていた一通のメール。
『ママ、パパ、元気?見ての通り無事ワールドプラネットは奪還できた。それにうまくおじいさまに変わってボクがこの世界の統治者になりかわる事もできたし。ついてはボクの身体ってまだ残してあるよね?それを入っていった時みたいにパソコンと接続……』
長々としたメールに書かれた説明。
ミカエルの身体はそのまま残してあった。
あの時遺された手紙に書いてあったからだ。
頭に新たな脳となるPC。
最新鋭の人工の臓器など、目に見えない『死んだ』器官は全て揃え。
カッ という閃光の後。
ミカエルは帰ってきた。
信じられない事だがミカエルは帰りの準備。
つまりは既に新人類への移行プロジェクトを完成させた上で旅立って行ったらしい。
つくづく天才というのは抜け目ない。
しかし未だ身体の動きが鈍いミカエルの変わりに私がこうしてミカエルの仕事をこなしているハメになっているのだ。
「うーん。頭、重い……。もうちょっと軽いPCなかったの?うー、決めた。次は自作のすっごい軽いPCをまた移植しよう。」
およそ人の道から外れた事をさらりと言ってのける愛息。
それでも。
たとえどんなカタチでも。
こうしてこの子が帰ってきた事は素直に喜ばしい。
最初のコメントを投稿しよう!