ありえなくもないやや近未来チックなはなし

4/4
前へ
/117ページ
次へ
「さて、と。いつまでもボクだけさぼってるわけにはいかないな。」      ミカエルは私が座っていた椅子に座り凄いスピードでキーボードを叩きはじめた。      「あら、もう大丈夫なの?」      「うん、もう慣れた。それに『彼ら』をいつまでも放っておくわけにはいかないしね。」         ミカエルの計画。      それは新しいワールドプラネットが完全に無駄になってしまうのをもったいない!と言いだしたのが始まり。      ジョージが造ったゲームの世界を新しいワールドプラネットに移植し、今度こそ誰でも参加できるネットゲームにしてしまおう。との事。      それも、人工知能のシステムを応用した『本当にゲームの世界に入り込んでしまう』全く新しいゲームのカタチ。      「けど、本当の目的はそんな事じゃあないんだ。」     ミカエルは振り返り、笑う。      「わかっているわ。何度も聞かされたもの。会いたいんでしょう?『お友達』に。」        「いろいろ言いたい事もあるし。話したいこともあるけど。まずはお礼、かな。ふふふ、それとリオンさんのほうは裏ボスになってもらおうって思ってるから説得とかに時間かかりそう。」      本当に楽しそうに笑うミカエル。信じられないけれど。本当にこんな電脳世界で意志を持って生きている人達がいて。そんな中でこの子は『友達』なんて呼べる存在に出会ったんだ。      コポポ…      コーヒーをカップに注ぐ。    やれやれ……      かつて私は『彼』の夢を聞いた時、 “狂っている。”だなんて言ってしまったけれど。              狂気、なんて点で言えば私の息子に適う存在なんてこれまでだってこの先だってどこにもいやしないんじゃないかしら――――
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

719人が本棚に入れています
本棚に追加