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船室を出てまた甲板に戻ると、
地下に降りる階段を下った。
まずこの部屋の奥でおいしい料理を作っているガレルさん。
今日も早くから、朝御飯の支度をしている様だ。
「おっ坊や!もうおなかがすいたのかな?
おじさんの料理はうまいだろ。
坊やのお父さんとどっちが上手だろうね。」
とジャガイモの皮を剥きながら
笑っている。
「うーん..。おじさんの料理もおいしいけど..
お父さんの料理もおいしいよ!!」
とリュイは少しムキになってしまったが、
「そっか、そうだよなぁ。
リュイのためだけに作ってくれるんだもんなぁ..。」
とガレルは自分で納得している。
そしてもうひとつ下にくだる階段を降りると荷物番のサンとシークが
テーブルに座っていた。
「おはよう。」
リュイが側に寄りあいさつをすると、二人とも笑顔で歓迎した。
「坊やの父さんは何かを探して
世界中を旅してるんだってな。
それが何だか知らないけど
早く見つかるといいな。」
そう言ってサンがリュイの肩に手を置いた。
「しかしこんな小さい子を
母親がいなくて男手ひとつで
育てたなんて…。
坊やの父さんは偉いよなぁ。」
シークもまたリュイの頭を撫でながら言った。
リュイは父パパスを褒められ嬉しかった。
そして誇らしかった。
サンとシークと少し話していると
船の揺れが無くなってきた。
「減速してるな..
そろそろ港かな?」
そうシークがつぶやくと、
リュイは慌てて階段を駆け上がった。
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