旅立ちの朝

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「おうリュイ目が覚めた様だな。」     そこは見慣れた部屋の いつもの光景だった。   しかし、さっきまで見ていた夢は はっきりと覚えていた。     リュイは、目の前のテーブルで 何やら書き物をしている父に、 さっき夢に出てきた父の話、 自分がその夢の 赤ん坊だったという話をした。     「何?夢を見た? 赤ン坊の時の夢で どこかのお城みたいだったと?」     始めは真剣な顔で聞いていたが、 リュイの突拍子も無い夢の話が だんだんおかしくなったのか     「わはは 寝惚けているな。 眠気覚ましに外にでも行って 風にあたって来たらどうだ。」     リュイは 真剣に聞いてくれないパパスに、 少しむくれた。     「でもね…」     リュイは話を続けようとしたが、 今度はこっちを 見てくれなかった。   書き物をする手を動かしながら 促す様に     「父さんはここにいるから 気を付けて行って来るんだぞ。」     と言われて リュイはますますむくれて 無言で部屋を出た。
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