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由紀は、女性に一瞬見惚れるが、かぶりを振りバッと頭を下げた。
「勝手に入ってすみません。直ぐに出ていきますから」
早口でそう言うと、体の向きを変え、スタスタと早足で歩く。
「待って!」
女性は、出ていこうとする由紀を、焦ったように引き留める。
不法侵入で警察に突き出されるのかとおどおどする由紀とは裏腹に、女性は優しく笑んだ。
「何か願いがあるのでしょう?少し話を聞かせてもらえないかな?」
そう言うと、由紀の腕を掴み、見た目からは想像できない程、強い力で引きずられた。
待ってください!と、由紀は強い口調で言い放ったが、女性は聞こうとせず笑顔のまま、腕を引き続けた。
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