最後の I LOVE YOU

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ただ照れ臭く、そして場違いな雰囲気に呑まれながらバーボンの酔いに身を任せるしかなかった。                 俺とミキは、相変わらずの付き合いで楽しい時間を過ごしていた。                   俺は、ミキの住んでる街がある隣りの県に住んでいた。車で峠を越えれば一時間だった。                     サービス業だった俺は、ミキのピアノ教室の予定に合わせ休みを取り、ミキの住んでる街に通っていた。              贅沢な話しだが、離れている一時間の距離がもどかしく辛く思える時もあった。             ミキは、25歳の割には贅沢もせず、所属していた小さな事務所の近くに部屋を借りて生活していた。                冗談でも立派な建物と言える訳でもなく、6畳の部屋が二つと小さな台所がある部屋だった。もちろんピアノなど無く、仮にあったとしても置く場所もなければ近所の手前、弾く事もできなかった。
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