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レインはあまりのことに言葉を失っていた。
「ご無事でしょうか陛下。ここは切り抜けたようです」
「レノルト指揮官は?」
「戦死です…無念でしょうがこのまま進みましょう…」
ブレイズたちは歩きながら苛立っているかのように見える。
「どうしてここで待ち伏せを!?」
「わからないが引き返すにはもう遅い」
皇帝と生き残った2人のブレイズは扉を開けて奥へと進んでいく。するとレインの前を歩くブレイズ、ボーラスがまた声をかけてきた。
「お前はここに残れ。ついて来ようとするな…」
そう言うとレインの目の前で扉を閉めた。レインは慌てて扉を開けようとしたが、開かない。ボーラスが向こうから鍵をかけたらしい。
行き止まりだ。レインは困惑した。暗殺者たちの死体の傍らでどうしようもなく立ち尽くす。
静寂。目を剥いて倒れた暗殺者たちの死体はレインにこれ以上ない恐怖を与える。レインはなるべく彼らを見ないようにした。
チ…チチ…
どこからか物音がする。レインは全身の毛が逆立つのを感じた。物音は壁の奥から聞こえてくる。壁をひっかくような音もする。
壁が崩れ、中から何かが飛び出してきた。
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