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義母がうちにやってきたのは二年前だった。母が亡くなり、父は仕事に没頭するようになった。そんなときに仕事先で知り合ったのが今の義母だ。
初めて会ったのは有名な料亭だった。父が神妙な顔つきで挨拶をした先には、義母が品の良い顔でにっこりと笑っていた。隣には自分の息子を連れていた。
化粧を隅々まで施した、派手な顔立ちの美人だった。最初の印象といえばそれだけで、私が反対することもなく、父も端から私の意見など関係ないというふうに扱っていた。食事の最中、義母は始終妖艶な笑みを浮かべていた。彼女の息子―――敦は、私とあまり変わらない年頃の子だった。今どきの子らしく、少し茶色い髪をワックスでセットし、携帯をあたる手を休めなかった。
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