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二年と一日後
新山は賑やかな町を歩いていた。服装はジーンズと白地に赤とオレンジのチェックのTシャツにダウンジャケットを羽織った簡単なものだった。
街はネオンでピカピカと光っていた。
新山の歩いている歩道のすぐ脇を自動車がスピードをあげて通っていく。
にこにこと微笑む父娘とすれ違うと新山も微笑む。
曇り空からは今にも白い雪が降ってきそうな日だった。
新山がCDショップに入ると、入り口のすぐ脇のレジにいた店主がドアの開いた音に反応して振り向き、店主はごほんごほん、と大げさに店主は咳をして、「まいど」と言って「今日は何しに来たんだ」と続けた。
「CDショップにCDの用以外で来るか?」と新山はニット帽を脱ぎながら答えた。
「昨日のあれは違うのかよ。あれは明らかにCD以外だよな?」
新山は咳をして、「あれは……いや、あれもCDだ」といった。
「冗談だろ?」と店主はにやけながら言ったが、新山は無表情で「いや、真面目だ」と返した。
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