依頼1-a

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薄暗い部屋の中、男がパソコンの前に座っていた。気だるそうにあくびをしつつ、スイッチに手を伸ばし電源を入れる。 片手にはお気に入りのカップに入れたばかりのコーヒーが入っており、立ち上がったパソコンの液晶画面の光を反射していた。 そして男がそのコーヒーを口に含んだ時、パソコンのメール用アイコンが点滅して本日何通目かの新着メールを告げる。 男はメール画面を出し、確認する。 ────全部で50件。男はまぁまあかな、と呟きながら一通ずつメールの内容に目を通す。 カチ、カチ、カチ、 マウスを左クリックしてメールを開き、選別する。中には全く関係のない物や、ただのダイレクトメール等もあるので、それらは邪魔にならないよう右クリックでごみ箱にいれる。 「これはパス」 「これいらない」 「これも、」 「これも!」 「これもっ!」 いらないメールが多すぎる、と愚痴をこぼしながらその作業を繰り返し、ようやく最後の1通に目を通した瞬間、男はニヤリと自身の口角を吊り上げる。 そしてパソコンの脇に置いてあった携帯電話に手を伸ばし、メール画面を開いて文章を打ち込んだ。 →
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