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「金本所長…」
「なんだい?」
「金本所長の奥様ってどんな方なんですか?」
「どうって?普通だよ」
「きっと素敵な奥様なんですね。毎日お弁当作ってくれて…」
「そんなことないさ。今日なんてランチは外食だよ」
一幸はクールに答える。
そんなクールな金本にシビレル女子社員の内村美嘉はハートの目をしている。
美嘉は今年で24歳。
若さと美貌で職場のアイドル的存在だった。
「深田さん、先に食事行ってもいいですかぁ~?」
「い、いいわよ」
「金本所長!一緒にランチ行きましょう」
一幸は答えないが、そんな彼の後ろを美嘉はちょこちょこついていく。
そんな二人を黙って見送る佳代子の心にはは、少しの寂しさと嫉妬が渦巻いている。
しかし、
強がりな佳代子は必死で笑顔をつくって接客する。
幸せだった1年間…
一幸が自分のものになったと思っていた佳代子…
それは、ただの錯覚にすぎなかった。
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