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「あの、何か用ですか?」
ちょっと、安心した俺は道か何かを聞きたいのだろうと思いながら聞いてみた。
「いやな。兄ちゃんの事、雨降る前から見てたんやけど…ずっと動けへんから暇なんかな思て、声かけてみただけなんや。」
頭を掻きながら、男性は言った。
別に、この瞬間だけの関係だろうと考えた俺は家出の事を全て話した。
「という訳で…継ぐのが嫌で、家出しちゃったんです。」
男性は真剣に聞いてくれた。
「昔のおっちゃんと同じやわ。おっちゃんも歯医者の息子でな?一人っ子やったんや…」
彼は遠い目をしながら言った。
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