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私は疲れていた。
勤め先では出世レースから早々と出遅れ、同期の仲間達を上に見上げ、彼等は既に仲間では無く社員と云うパーツに変わっていた。
そして、彼等や後輩達の目の前で上役に罵られる屈辱的な毎日。
私としては精一杯の仕事をしているつもりなのだが、会社ではそれ以上の仕事を要求される。
必然的に残業、休日出勤の日々が続いていた。
私は疲れていた。
学生時代からの付き合いの彼女と逢う機会も自然と減り、たまに逢う彼女の心は傍目からも私から離れているのが見てとれる態度であった。
今日も私は疲れていた。
午前中の仕事は相も変わらずはかどらず、私といくつも歳の離れていない上司に嫌味を言われ、同僚や後輩達の羞恥の視線に晒された。
昼休み、会社の屋上のベンチに座り、私はコンビニで買ってきた傍目にも淋しい昼食を摂り考えていた。
…この仕事も限界かな…
こうも考えるのだが、この不景気に再就職もなぁ…と考えてしまう。
周りで昼休みを楽しみ騒ぐ社員を尻目に私は独り、目を閉じて束の間の休息を取ろうとした…
が、目を閉じた途端だった。
瞼の裏に見知らぬ風景が広がり、脳裏に流れ込んできた。
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