第1章

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少女の足元に二体の死体。 血にまみれて倒れている。 「……汚いものね…」 うっすらと笑みを浮かべていた少女のその真っ赤な瞳は その冷たい表情とは裏腹に、僅かな哀しみを宿していた。 「…貴方達の血は……汚い…貴方達の心は酷く醜いから……きっと…私も…」 透き通るような声。 何もない空間に響き 風に掻き消された。 「さようなら……貴方達では私を…殺すことなど出来ないわ」 小さく放った声が風に消える。 風で騒めく森に 少女の背中は遠くなっていった。
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