青春パラダイス!? 大混乱の学園生活

2/4
6781人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
「さすが山奥にたたずむ学校。バス停からこんなに遠くにあるとは……」  色里学園は街から離れた山奥に建っている。そのため、一番近くのバス停からでも徒歩30分はかかる。 「ん? 何だあれ?」  右側にいくつもの建物が並んでいた。こんな山奥に住宅街なんてあるはずもないので……。 「寮ってあれかな?」  学生寮だと思い、特に気にもせず軽く流して歩みを進めた。  すると……。 「キャア! 痛ったぁ……」  目の前を走ってた女の子がけつまづいて転んでしまった。 「お、おい大丈夫かよ? あ……血が出てんじゃん」  女の子の膝からは僅かだけど血がにじんでた。  応急処置をしようと辺りを見回すと自然に囲まれてるためか道路脇の溝を水が流れていた。 「自然の水なら大丈夫だろう。多分」  持ってたティッシュを水で濡らし女の子の傷口を軽く拭く。 「はい、後でちゃんと消毒した方がいいよ」 「あ……ありがとう……」 「別にお礼言われる程の事じゃないよ。じゃあ」  俺は急ぎ足で学園へと向かった。  ……。  …………。  ………………。  学園に着くと何やら掲示板の辺りが騒がしい。 「あぁ、クラス発表ね」  俺もクラス発表を見るため、集団の元へと向かったが……。 「気のせいか? 男の姿が見当たらない……」  男女共学になったんだから少しでも男子がいてもおかしくないはず。 「そんなに少ないのか……っといけね! クラスクラスっと」  掲示板に顔を近付けた瞬間、 『放送します。七原祐介君、いましたら至急職員室まで来て下さい』  いきなりの呼び出しをくらってしまった。  一応クラス確認を済ませて職員室に向かおうとした時……。 「ちょっとそこのあんた!」  誰かに後ろから声を掛けられた。振り向くとそこには、金色に輝く長髪を二つにくくった女の子が立っていた。 「あんたも新入生でしょ? 地図忘れたから体育館の場所が分かんなくて……教えて欲しいんだけど」 「悪い! 職員室に行かなきゃなんないんだ。他当たって」  俺は彼女の頼みを丁重に断り目的地の職員室へと急いだ。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!